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不用品回収の動きをチェック!

社会的交換における振る舞いは、わたしたちの記憶にも影響を及ぼしているのです。
相互協力による社会の実現に必要な認知バイアスは、裏切り者検知だけではありません。
利己的な行動を抑え、互いの協力を促進するような心の働きも同じように重要でしょう。
Y氏俊男らは、そのような認知バイアスの存在を指摘しています。
先に紹介した囚人のジレンマゲームにおいては、一回限りの対戦であれば非協力を選択するのが合理的な方法でした。
しかし、実際にゲームを行ってもらうと、かなりの参加者が非協力ではなく協力を選択することが知られています。
なぜ、わざわざ非合理な選択をしてしまうのでしょうか。
Y氏らは、わたしたちには「社会的交換ヒューリスティック」というものが存在し、囚人のジレンマのような状況におかれるとそれが活性化するのだ、と考えています。
社会的交換ヒューリスティックは、参加者に囚人のジレンマゲームを安心ゲームであると思わせる働きをします。
囚人のジレンマゲームでは相手が協力したときに自分か非協力を選ぶといちばん利得が高かっかわけですが、これが互いに非協力であったときと同じになるのが安心ゲームです。
つまり、相手が非協力のときには自分も非協力を選ぶと自分にとってはよい結果になり、逆に相手が協力を選択しているときには自分も協力を選ぶ方がよいというかたちになっているわけです。
詳細な実験の手続きと結果についてはY氏らの著書を参照していただきたいのですが、要するに、囚人のジレンマゲームへの参加者はこのゲームをみんなが協力すれば自分も協力する、という状況に読み替えてしまい、なおかつ自分の決定が相手の決定にも影響すると思ってしまったわけです。
同じような話は前にもありましたね。
そう、内集団ひいきのところで出てきた「コントロール幻想」です。
あれも社会的交換ヒューリスティックが働いた一例といえるでしょう。
人間は相互依存的な状況におかれると、社会的交換ヒューリスティックが発動し、協力行動が促進されるというわけです。
さらに興味深いのは、このような社会的交換ヒューリスティックが強力に働く人、すなわち相互協力の達成を目指すような傾向のある人は単なるお人好しではない、ということです。
Y氏らの他の実験では、囚人のジレンマ的な状況において相手を信頼する傾向の強い人ほど、相手がどのような行動をとるかについての予測が正確に出来ているという結果が得られています。
このように、わたしたちには相互に協力的な行動をとるように仕向け、なおかつ利益だけを得て自分は協力をしないような人物を排除するためのさまざまな認知バイアスが備わっているらしいということが明らかになりつつあります。
実は、わたしたちの感情は、単に個人の意思決定を助けているだけではなく、社会的な相互作用において「かしこく」振る舞うためにも役立っているという説があります。
経済学者のR氏が挙げている例を紹介しましょう。
誰かが、あなたが数日前に二万円で買った指輪を盗んだとします。
犯人の目星はついていて、その証拠もありますから、もし警察に通報して裁判になれば、ほぼ間違いなく二万円の指輪を取り戻すことができます。
しかし、裁判には時間がかかりますし、弁護士も必要です。
裁判所に行くとなると、あれやこれやの費用で一〇万円かかってしまいます。
どうするべきでしょうか。
もしあなたが利益と損失のみを考えて動く合理的な人間なら、通報することはしないでしょう。
二万円の指輪のために一〇万円使うのはどう考えても非合理で、ばかけています。
しかし、おそらく多くの人は「けしからんやつだ、ただでは済まさんぞ」などと「感情的に」なり、犯人を罰するために訴えると思います。
それこそが、感情の機能なのであるとフランクはいいます。
どういうことでしょうか。
たしかに感情にまかせて訴えると、最終的には損をしてしまいます。
しかし、指輪を盗まれても合理的に処理してしまい報復しない人は、周囲からなめられてしまうことでしょう。
「あいつは裁判費用以下のものを盗まれても訴えることはしないぜ」などという評判がたつと、安い物は盗まれ放題ということになってしまいます。
しかし、怒りにまかせて訴えるような人だと、周りの人間はその人から盗もうとはしないでしょう。
つまり、怒りという感情はこの盗まれた人が一見合理的な行動をとらないように拘束しているのだ、だからこそ、その場では損をしたかもしれないが、長い目でみれば得をしているのだ、というわけです。
このように考えると、わたしたちのもっているさまざまな感情は、社会的ジレンマを解決するために、目先の合理的な行動に走らせないようにわたしたちの行動を縛り付けている鎖のようなものとしてみることができます。
例えば友情や好き嫌いの感情はどうでしょうか。
特定の他人に好意をもつことは、その人との互恵的な関係を維持していくのに有効だったことでしょう。
たとえその人を裏切った方が最終的には自分の利益になるような事態があっても、友情という感情がそれを阻止し、互恵的な関係を崩さないようにしているのかもしれません。
相手に対する感謝や同情などもそうでしょう。
相手が自分に何かをしてくれたとして、それがあまりたいしたことではないのなら、お返しをしなくても相手は怒らないかもしれません。
そうするとその場ではお返しをせずに済ませてしまう方が利益になるのですが、それが何度も繰り返されると、相手もあい老をつかしてしまい、互恵的な関係が崩れるという大きな損をします。
ところが感謝の気持ちがあれば、相手に対するお返しの行動が動機付けられることでしょう。
また、同情は、困っている相手に対しての利他行動を動機付け、互恵的な関係を築くことに役立っているのかもしれません。
アクション映画を観ていると、妻や子供を殺された主人公が仕事や財産をなげうって復讐を果たす、というストーリーがよく出てきます。
考えてみればこれはまったくばかなことです。
そんなことをしても死んだ人は帰ってこないのですから、過去は忘れてさっさと新しい生活を始めろというのが合理的な考えでしょうが、しかしわたしたちはついついこの主人公に感情移入してしまいます。
だからこそこのような陳腐なストーリーが何度も使われているのでしょう。
こういった過剰な復讐心というものも、周囲の裏切りを防ぐ働きをしているのかもしれません。
「あいつを裏切ると復讐される」という認識を周りの人間がもつ、というのは要するに「評判」ということです。
このように考えると、互恵的な社会を成り立たせるためには評判というものが重要であることが分かります。
特定の相手が信用に値するかどうかを見極めるにはある程度その人物と交渉をもたなければなりませんが、その人物がどういう行動特性をもっているのかという情報があれば、見極める手間が省け、それだけ多くの相手に開かれた関係をもつことができます。
また逆に、自分が協力に値する人間であることを評判によって他者に知らしめることができれば、利他行動の直接的な相手ではない第三者からの利他的行為を引き出すことも可能になります。
「情けは人の為ならず。
廻り廻って己が為なり」ということわざがありますが、このように、直接的な助け合いを越えて形成される協力関係を、間接的互恵関係といいます。
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